2009-01-01から1年間の記事一覧

憎悪と虐殺のシェヘラザード

マリインスキー・バレエ「オールスター・ガラ」@東京文化会館(2009年12月11日) 前回の来日でのヴィシニョーワとコルプの「白鳥の湖」は、愛と成長の物語なぞではなく、欺きと偽りの物語だった。ならば同じ二人による「シェヘラザード」が暴力と憎悪と、狂…

2009秋ベルリン+@旅行記(18)

DAY+@:ベルリン街歩き総集編(メルケルおばさんの総選挙ほか) 承前。 思っていたよりも肌の色の白い人の割合が多かった件 ベルリンには移民が多いと聞いていたので、街を歩いていたら肌の色さまざま、言葉さまざまな人に順次行き当たるのではないかと想像…

2009秋ベルリン+@旅行記(17)

DAY+@:ベルリン街歩き総集編(治安の話とかその他モロモロ) ベルリンに行くことにして一番気になったのは治安の状況だった。だってネット上を渉猟すれば、日本人がネオナチにタコ殴りにあったとか、そうでないまでもからまれたとか、非ヨーロッパ系の人間…

2009秋ベルリン+@旅行記(16)

DAY7-2:ドイツ×歴史×博物館。 承前。ドイツ歴史博物館につかまっているところ。 外国人観光客的視点バージョン かくして、展示は、ローマ時代の円柱にはじまり、デューラー描くところのカール大帝、騎士の文化、アウグスブルクの栄華、宗教改革――ルターとメ…

2009秋ベルリン+@旅行記(15)

DAY7-1:歴史の地層(ただしベルリンは軟弱地盤注意) この日は余裕をもってスケジュールを組んでいたので、時間が余ったら行き損ねたところへ行こうと思っていた。 赤の市庁舎とニコライ地区 何しろ就寝が早いので、朝はいつも時間をもてあます羽目になる。…

2009秋ベルリン+@旅行記(14)

DAY6:バルト海! バルト海! カモメの水兵さん 土曜日ということで、週末遊びに出掛けようというドイツ人で駅はごった返していた。乗ろうと決めていたロストック行きの列車は「ヴァルネミュンデ・エクスプレス」と称してロストックの外港のヴァルネミュンデ…

2009秋ベルリン+@旅行記(13)

DAY5-3:過ぎ去ろうとしない過去。 元ネタは未読。今回の旅行で自分の立ち位置と補助線の引き方がぼんやり見えてきたので、今後ぼちぼち読んでいくつもり。さて。 カレーヴルストを食べたこと 空腹をかかえながらクーダムの通りを歩く。クーダムと言うのは、…

2009秋ベルリン+@旅行記(12)

今回の旅行では、この本にたいそうお世話になった。ベルリン―“記憶の場所”を辿る旅作者: アンドレーアシュタインガルト,Andrea Steingart,谷口健治,北村昌史,爲政雅代,南直人,進藤修一出版社/メーカー: 昭和堂発売日: 2006/04メディア: 単行本 クリック: 5回…

2009秋ベルリン+@旅行記(11)

プラハ日帰りの翌日は午前中を休養に充てるつもりだったのだが、いつもの癖で7時には起きてしまう。湯船につかれないせいで体中がバリバリするものの、驚くべし、お肌は近年になく絶好調だった。単にお日様の下を一日中歩き、バランスはよさそうだが大分簡素…

2009秋ベルリン+@旅行記(10)

DAY4-3:プラハ・アンダーグラウンド(3) プラハには8時間滞在できるとして、旧市街2時間、ユダヤ人地区2時間、マラー・ストラナ2時間、食事・移動・予備2時間という見積もりを立てていた。マラー・ストラナに渡った時点でほぼ予定通り。 薬学歴史博物館を求め…

2009秋ベルリン+@旅行記(9)

DAY4-2:プラハ・アンダーグラウンド(2) 承前。ここで言うアンダーグラウンドは文字通りの意味、すなわち地下のこと。廃墟萌えとか工場萌えとかいう言い方に倣えば、私は疑いなく地下萌えの人間であって、上水道よりは下水道、橋の上ではなく橋の下、屋根裏部…

2009秋ベルリン+@旅行記(8)

友人が遊びに来たので、撮りためたピンボケ写真を示しつつ、旅のみやげ話をした。相手はガイドブックをぱらぱら眺めて、「君が話した街がここに書かれている街と同一のものとは到底認めがたい」と言った。しかし、友人のおかげで、フランクフルト・オーダー…

2009秋ベルリン+@旅行記(7)

DAY3-2:で、ペルガモン。 で、ペルガモンなのであった。 ベルリンのガイドブックでは「何があってもペルガモンだけは」と、「ナポリを見て死ね」並の扱いをされているペルガモン、シュプレー川の中州に5つの博物館を擁し、「シュプレーのアテネ」の令名高い…

2009秋ベルリン+@旅行記(6)

DAY3-1:オドラ、オーデル、クライスト。 夜、何度か腹痛で目覚めかけたものの、朝起きたら峠は越えているようだったので、予定通り鉄道の旅をすることにした。Oの方のフランクフルト、オーデル河畔のフランクフルトを訪れて、ついでにポーランドへ足をのばし…

2009秋ベルリン+@旅行記(5)

ベルリンはでかい。 しかしそれに甘んじていてはいつまでたっても帰りつけないぞ。 DAY2-3:掘り出されつつある都市。でもナチはゴミ箱へ。 テロのトポグラフィー ナチの遺構なんておっかないものは避けて通りたかったのだが、壁にくっついて来たのでやむなく…

2009秋ベルリン+@旅行記(4)

引き続き。この日は壁めぐりだけじゃなく、腹痛をだましだまし、ユダヤ博物館やナチ関係の場所も見て来たのだった。 DAY2-2:ユダヤ博物館とホロコースト記念碑。 いきなりベルリンまで行く気になったのは、リベスキントのユダヤ博物館を見てみたかったからだ…

2009秋ベルリン+@旅行記(3)

昨日は明大講義を聞いて来たのだが、一度に一つのことしか出来ない鳥頭ゆえ、先に旅行記を片付けてしまいます。 DAY2-1:壁、観光資源、壁、稀に過去。 着いたらいきなり腹痛週間に突入してしまった。8月に初稿〆切をぶっちぎらせ、私を午前中職場のトイレに…

2009秋ベルリン+@旅行記(2)

@はアルファじゃない、とか言わないように。 DAY1:NRT→CPH→TXL 初日はひたすら雲の上を飛んで移動していたので、あんまり書くことがない。コペンハーゲンのセキュリティ・チェックで係員に貴重品袋の存在を失念されて、ドイツの土を踏む前にあやうく財産の…

2009秋ベルリン+@旅行記(1)

ヒッキーの歯車が旅に出た訳。 ふと思い立ってベルリンに行って来た。 実は去年の夏、月山に登る計画があったのである。それまで文学なんて屑だ作文なんぞはロクデナシの所業だと主張してはばからなかった我が老父が、70にして奥の細道を自転車で走破する野…

しばらく留守にします。

何故か午後から鼻の頭がかゆいと思ったら、つまりは出かけるからなのだった。 ついったで何か呟いているかも。 https://twitter.com/machino_y

アリーザーデの音に溺れる。

戦闘終了! 気づくと秋の虫の声があらゆる場所から立ちのぼっている。8月と9月の初旬はどこのバーミューダに消えたのか。 とどのつまりは仕事とは言え原稿書きだったので、残業時間の割にストレスはなかったのだが、とはいえ拘束時間が長ければ家事は滞るの…

ボロジノ顛末その2、あるいは歯車ゾンビはいかにして露命をつなぐか。

歯車状態をはるかに過ぎ、ゾンビもはや脱皮して、化け猫と化して幾星霜。奇声を発しながら深夜のパソコンに向かって絶賛修羅場中です。一月に及んだマキノ的ボロジノもそろそろ終盤戦。しかしオーディン大神も「死んで焼かれてしまってから女を誉めるべきだ…

旅行記、女装、ヴァイキング(備忘録)

講談社現代新書を読んでいたら、新刊案内に関心を引く内容を見つけたので、メモしておく。イブン・ジュバイルの旅行記 (講談社学術文庫)作者: イブン・ジュバイル出版社/メーカー: 講談社発売日: 2009/07/13メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 704回この商品…

死者に祈る。

祈りなさい、主よ。/私たちはまぢかにいます。ーーパウル・ツェラン * 終戦の日。あるいは、こちらにいらっしゃっていた死者をあちらにお送りするとされる日。 今住んでいる街は東京大空襲で焼けた、というのは知っていた。私の祖母はこの地域の小学校の先…

萌えとやおいとその他のことども。

標記の件につき、頭の整理をしたいなあと漠然と思っていたところ、萌えとやおいについて言及した文章を読み、そこでの言葉の使い方が今ひとつ腑に落ちなかったので、この機会に頭の体操をしてみることにした。と言うことで、以下、コールバイターズ的「萌え…

彼らは作者に反逆する権利を手元に留めおかねばならない。

暑い。検査の結果、持病その他はさしあたり無問題らしいことが判ったので、服の下のそいつと和解して、この週末はのたくた過ごすことにする。そいつに「何が聴きたい?」と聞くとこんなのを選んで来た。Alkoholアーティスト: Goran Bregovic出版社/メーカー:…

ボロジノ顛末その1、及びハリー・ポッターの国籍問題(番外)

ボロジノ顛末その1 実際の戦闘はそうそう英雄的には進まないとはトルストイ御大もかねがね言っていることで、まあだからと言って、アンドレイの戦闘場面からの退場っぷりの情けなさなどは、作者が彼を馬に蹴られて死んじまうキャラに設定して皮肉っぽく描写…

決戦の夏、にせものの夏。

歯車的ボロジノの戦いが始まった。砲弾の音がだんだん近づいて来る感じ。とはいえ、射程距離にはまだ入ってないし(来週入る)、修羅場る仕事というのは、とどのつまり原稿書きなので、空調を切られてくそ暑いオフィスに殉じる必要もないやと言い訳して、と…

見る前に跳べ。

何とかなるかもしれない補助線を思いついてしまったのだった。 ・・・・・ ・・・・・ いやはや、人間の壊れっぷりというのはなかなか見事なもんだな。 まるでゴミのように落ちやがるぜ。 ・・・・・ ということで、今週からボロジノの戦いが始まるというの…

さよならを言うんじゃなかったのか。

昔巡回していたファンサイトを再訪し、ブログの映画感想をあさり、揚句の果てに昔書いたファンフィクまで読み返してしまった自分がいる。 ・・・・・ なにごとも手につかない。 (笑) ・・・・・ ラストのスネイプ先生の名乗りにおけるアラン・リックマンの…