2009秋ベルリン+@旅行記(17)

coalbiters2009-11-05

DAY+@:ベルリン街歩き総集編(治安の話とかその他モロモロ)

ベルリンに行くことにして一番気になったのは治安の状況だった。だってネット上を渉猟すれば、日本人がネオナチにタコ殴りにあったとか、そうでないまでもからまれたとか、非ヨーロッパ系の人間がいろいろ非道い目にあったとかいう話が続々出てくる。夜の駅は危ないとか何とか。駅にはスリや置き引きも出ますとかガイドブックなんかには書いてあるし。
しかし、一週間ばかり観光客としてふらふらした限りでは*1、そのような紋切り型の危険には行きあわなかった。というか、紋切り型的にはすこぶる安全安心であった。要するに、紋切り型的切り口は役に立たないってことだ。
ということで、これからベルリンに行くので検索してここにたどり着いた方向けに、以下体験談。お役にたてれば幸い。

人は少ない。

全ての前提として、ベルリンには東京ほど人がいない。人口もそうだし、人口密度もそう。さらには結構な車社会であり、バス・トラム他公共交通機関が発達している。したがって、

  • 通りを歩いている人はかなり少ない。場所によってはほとんどいない。

これをどう捉えるかは各人の判断だ。理屈で考えれば、スリとかひったくりとかいった類の経済的な犯罪はあまり割にあわないので行われないのではないかと推測できる。実際、駅でスリとか置き引きとか、あり得ないのじゃないかというのが実感。それ以外の犯罪は運の問題にもなってくるので、自分にできる自衛策と取れるリスクを秤にかけた上で、運を天にまかせるしかない。もっとも、安全安心といったレベルまで問題を広げるなら、東京には厳然たる大震災リスクがそびえ立っている訳で、普段落下物の可能性とか避難経路とかに向けている警戒心を「ひとけの無さ」に振り向ければ、十分元は取れるのではないだろうか*2

落書きは治安と連動しない。

 Kopenicker通りの巨大ゴミ箱落書きつき。
駅の周辺とか少し中心部から離れたあたりとかの建物は落書きでものすごいことになっているのでびっくりする訳だが、あれは多分中心からの距離と土地柄(住宅地か商業地か工業地か云々)と杓子定規な対応をなしているにしても、あまり治安とは関係ないように思う。日本における安売り店とかパチンコ屋とか幹線道路沿いの郊外型店舗のあまり美しくないノボリのようなものだと考えればよいのでは。

ネオナチだから犬を放し飼いにしている訳じゃない。

その昔ランニング中に犬に追いかけられて必死で逃げた(けど駄目だった)トラウマのある身には最凶な情報が「犬を放し飼いにするネオナチ」だったのだが、――はっきり言おう、誰もがフツーに放し飼いしています。シェパード含む大型犬を。ただし、しつけは非常にしっかりなされている感じなので、それ程恐ろしい印象は受けませんでした。「訓練されてるなら安心」と思うか、「訓練された犬が飼い主の命令で襲って来たら」と考えるかは各人のリスク感覚の問題。犬の落とし物は結構あった。

大きな駅の売店は深夜土日もやっている。

ベルリン中央駅やベルリン東駅などの大きな駅は明るいし、24時間営業の売店も多々あり、夜中の12時近くに利用しても怖くはなかった。トイレも、高いところで0.7ユーロとかしやがるだけあって広くてきれい。心配性の向きは、ドイツ鉄道のページに主要駅の構内図などあります*3ので事前に確認しておくとよろしいかと。大きな駅と言っても、その駅を発着する全列車の時刻表が1〜2枚でおさまるレベルなので、東京駅とか新宿駅とかを想像してはいけない。

都市内の公共交通機関

バス、トラム、地下鉄はいずれも都市住民の足がわりという位置づけらしく、めったやたらと走り回っているが、到着予定掲示板が感動的に便利なほかは、あんまりインフラっぽさはない。地下鉄は東京の同業者と比べるとかなりちゃちで、駅にも平気でトイレがなかったりする。

コミュニケーション

接客に日本人的細やかさなどを求める人はストレスたまるでしょうが、こちらが観光客であることを明確にし、かつ、郷に入れば郷に従うそぶりを示していれば、たいていはきちんと面倒見てくれます。北欧などに比べると英語通じる率は低い気がするが、観光客がふらふらするあたりにはしゃべれる人がいるので多分大丈夫。コミュニケーションが成立しないとしたら、普段しなれていないことをしようとしているからだと考えた方が早い――と博物館と本屋とスーパーと鉄道は全然平気なのに、カフェとレストランとバスからは尻尾を巻いて逃げ出した自分は思いました。こじゃれた店にも堂々と入れるよう、修行せんと。
ちなみに、私の旅行中はS-Bahnが絶賛運休中で、ドツボにはまった旅行者も多かったらしい。列車の中で「空港へ行くには私はどこで乗り換えればいいのー。ああ間に合わないー」とパニクる観光客を、隣のおじさんがなだめすかし、反対側の端のお姉さんが携帯で検索した結果を読み上げ、その他の乗客もあれやこれや助言するところに乗り合わせたこともあった。東京だと親切心はオプションだけれど、ベルリンでは基本装備で、むしろ外す方がオプションという感じだ。

信号

ベルリンは車社会度が高いが、人間と同様、車の密度も高くはない。そのかわり結構飛ばして来る。信号は、低密度だが高速の自動車に恐れをいだくチキンハートたちのための最低限のバリアフリー設備と位置づけられているらしく、非常に稀にしか存在しない。なので欲する時に欲するところで道路を渡って特段の問題はないものの、日本とは反対の右側通行なので、慣れるまではあらぬ方を見ながら渡って轢かれないよう注意。
なお、旧東ドイツの信号機の歩行者マークはアンペルマンと言い、今や(一部の説によると)旧東ドイツ人のアイデンティティにもなっているそうだが、土産物屋に大増殖している。アンペルマン・ショップと称する専門店だけでなく、駅の土産物屋とかでもグッズを扱っている。ちなみに旧東ベルリン側で見かけた信号機の大部分は、今でもアンペルマン印だった。写真はロストックの信号機。
 

ピンクを愛する心。

何故かベルリン人は街角のポイントポイントにピンクを使いたがるもよう。写真はユダヤ博物館前の案内板とポツダム広場あたりの公衆電話。カール・マルクス大通りの端では確か配管がピンク色をしていた。質実剛健イメージからの脱却を図っているつもりだろうか。
 

くま。

ベルリン市の紋章は熊であり、街の各所でカラフルな万歳熊が迎えてくれる。ただし、こちらはアンペルマンと違い、まだ土産物屋には進出していないようだ。万歳熊のチョコとかあれば、お土産に丁度いいのになあ。
 ニコライ教会前の熊(葉っぱの向こうにいるのだ)。
続く。次回で完結予定。

*1:ただし、日が昇ってから沈むまで限定。

*2:ただし、ベルリンは土地が余っており、都心部に平然と無人の再開発用地みたいのが出現するので要注意。ドイツ技術博物館の最寄駅のGleisdreieck周辺はうら寂しくてその時もびっくりしたけど、帰国後こんなページを見つけて腰を抜かした。ひええ‥‥ 状況がよく判らない場合は、事前にグーグルマップなどで予習していくことをおすすめしますだ。

*3:ベルリン中央駅ベルリン東駅など。