2009-06-01から1ヶ月間の記事一覧

はぐるま、せったいする。

夏至の頃には、あたりは腐った東京湾のにおいでいっぱいになる。可哀想に、青潮にやられてどこかで大量に浮いているらしい。 「つまり、この街では平穏な貌の下で大虐殺が行われている訳だな」布きれの下でそいつが言った。「ふん、文字にすると大層恐ろしげ…

はぐるま、「戦争と平和」を読む(3)

まあ、その、つまり、トルストイの「戦争と平和」である。そろそろ本題。 何しろ過去に糞つまらん認定したトルストイであるから、読み通せれば御の字と思っていたのだが、これが案に相違してたいそう面白く味わいぶかいのであった。いや、嫌味じゃなく。いい…

N.Z.デーヴィス特集(備忘録)

ふと思い立ってナタリー・ゼーモン・デーヴィスで検索していたら見つけた。マルタン・ゲールの映画つながりってことなのだろうか、守備範囲の広い人だ。歴史叙述としての映画―描かれた奴隷たち作者: ナタリー・ゼーモンデーヴィス,Natalie Zemon Davis,中條…

はぐるま、週末の陣地に帰還する。

木曜日の夜に、ひとけのない職場のトイレで「ワルキューレの騎行」をどんぶらこーと声に出して歌っている自分に気づいた時はどうしようかと思ったが(笑)、十字砲火にずたぼろにされることもなく、無事週末の陣地に帰還する。敵も甘いな。とはいえ、今回は…

追悼 〈東京の夏〉音楽祭。

いや、まだ今年のシーズンははじまっていないけれども、音楽祭は今回で終了になると言うので。 〈東京の夏〉音楽祭、第25回の今年で終了 毎夏、意欲的なテーマのもとに世界各地の音楽を紹介する〈東京の夏〉音楽祭が、第25回の今年で終わることになった…

はぐるま、「戦争と平和」を読む(2)

引き続き、クールダウン中。 まずは文庫の体裁について難癖をつける。 さて、トルストイの「戦争と平和」である。ボンダルチュクの映画が戦争の場面はたいそうかっこよく、人間関係の部分はかなりうんざりするのに興味を引かれて、原作を読むことにした。地…

はぐるま、週末の陣地を見失う。

週末の陣地まであと一日行程だ、と火曜日あたりからずっと思っていた。どんな長くても二日行程は無い筈なのである。行軍中ずっと、頭の中で「ワルキューレの騎行」がエンドレスで鳴っている。歌詞は何故かすべて「どんぶらこ」に変換されている。どんぶらこ…

はぐるま、だつりょくする。

久々に週末完全引きこもり。先日来やたらとふわふわしていたのは風邪を引きかけていたかららしく、早速ダウンしてほとんど寝て過ごす。うう。お持ち帰り仕事を当てにしていたのに。 ということで、横になりながら「戦争と平和」を読了してしまい、際限なく脱…

はぐるま、「戦争と平和」を読む。

早速、人間状態から滑り落ちる。頭蓋の中で円盤がうつろな音をたてて高速回転しているのが判る。別名、空回り。周囲から「たいへんですねー」と言われまくっているのに本人はそうとも感じず、何だかふわふわしているっていうのは、ある意味かなりやばいんじ…

佐藤亜紀@明大講義[2009年度第2回]

前のエントリで「国民国家nation-state」を引こうと手持ちの「西洋史辞典」(S58,H5改訂、東京創元社)を取り出したら、「国民国家」は事項として収録されていないことが判明。そういうものなのか? それでいいのか? 例え火薬庫に火をつけるようなものだと…

ハリー・ポッターの国籍問題(完)

魔法使いは近代国民国家の夢を見るか。 ということで、ハリー・ポッターの国籍問題を検証する。 ハリー少年の国籍問題を論じるとは、つまり、魔法界がハリポタ物語世界において、近代国民国家としての主権を持つや否やを考えることと同義である。 まず、「国…

ハリー・ポッターの国籍問題(記事一覧)

ということで、目次をつくってみました。よくもこれだけ馬鹿をさらしたものだ。 発端の章 問題提起の章 ファンタジーの定義を考える章 引き続きファンタジーの定義を考える章 ハリポタはファンタジーかを考察する章 ファンタジーと二次創作のソースの相違を…

ハリー・ポッターの国籍問題(5)

「謎のプリンス」近日ロードショーの看板が出ていた。一世一代の大芝居、アラン・スネイプはかっこよく戦ってくれるのかしらん。さて、仕事もドツボにはまって来たので、そろそろ〆たい「ハリー・ポッターの国籍問題」続き。 「本当にあったこと」を詐称する…

「ヴェーセン・ストリート」とその他のことども。

水曜日の深夜、寝ようとしたらケータイに弟からのメールが入っていた。「パソコンのメルアドにメールを送ったので早く見やがれと親が怒っている」とのこと。翌朝電話してみると、手伝って欲しいことがあるので今度の土曜日に来てくれないか」と言う。何を手…

エンタメとしての「指輪物語」(2)

うわっ、また出やがった。もう許さん。私がいない間なら何をしてもいいと言い渡してあるのに、どうして私の目の前で、よりによって流しに、しかも私が精神的ダメージのおかげでたたっ殺せない身になっているタイミングで出やがるのか。無礼にも程がある。全…