南房総道の駅を公共交通機関で回る。(1)
はぐるまは阿呆な旅の計画を思いつく。
3月には寒かったので暖かいところに行きたくてたまらなかった。そんな折、南房総市の物産展に行き当たった。菜の花の黄色が目に染みる。みかんと一緒にパンフレットを貰って帰ってきた。
ところがどうも単純な話ではなかったのだ。宿は家族向けキャンペーンだし、交通情報には申し訳程度に鉄道のことが書いてあるばかり。菜の花色のリーフレットに至っては、道の駅の特集であった。それを見ると、世の中には東京から車で何時間という尺度しか存在しないようだ。
車を移動の手段にしている方はご存知だろうが、リーフレットによれば、道の駅とは、「道路利用者のための「休憩機能」、道路利用者や地域の方のための「情報発信機能」、そして「道の駅」をきっかけに町と町とが手を結びあう「地域の連携機能」の3つの機能を併せ持つ休憩施設」とのこと。しかし、ただの休憩施設ではなくて、観光などの付加価値がいろいろ付いて来るらしい。
ちなみに、連絡会議事務局と住所を同じくしているのは、この団体。
道路保全技術センターって、少し前に検査がいい加減だとか何だとかとニュースになっていた団体である。こりゃ、まんま国交省職員の天下り先確保のための無駄公共事業に違いない、と思っていた*1。ところが南房総に住んでいる親戚が、自分のところで作ったのを道の駅でも売っているのよとのコメント付きで自家栽培の野菜を送ってきた。とすると、必ずしも閑古鳥の鳴くハコモノという訳でもないのかもしれない。とは言え、自家用車での移動をより便利かつ快適にする施設は、公共交通機関を愛する私にとっては、更なる車社会化を促進する可能性があるからして望ましくない。とにかく一遍行ってみるかと思っていたところにくだんのリーフレットである。
で、悪い癖でむらむらきてしまったのだーー公共交通機関で道の駅めぐりをしてやろう。
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結局3月には行きそびれたので、ゴールデン・ウィークにリベンジをはかった。観光情報を調べて見るとバス路線はあるらしい。時刻表もネットで見られる。一時間に一本だが。バス会社のホームページがなくて焦った路線も、観光協会かどこかが掲載していた。こちらも一時間に一本。道の駅そのものには停車しなくても、徒歩十分程度で何とかなると踏めそうだ。館山から先の鈍行も一時間に一本弱ーーもっともバスとの接続は考えているみたい。なので、次のバスが来るまでの間、道の駅をふらふら見物すれば3か所くらいは行けそうだ。
と完璧なプランを立て終わったところに弟がやって来て、道の駅を回るなら車を出していいと言う。それでは趣旨に反すると断るのだが、えらく強引で、「弟の厚意をむげにするとは何事か」とか恫喝の気配まで帯びてきた。ひょっとすると彼女に振られたのかもしれない。あるいはめでたく彼女が出来て、予行演習をしたいのかもしれない。一番ありそうなのは、非モテの悲哀がついに脳天に上った可能性であろう。
ということで、完璧なプランは画竜点睛を欠き、家族で千倉までドライブした後、私は千倉の駅で別れて阿呆旅に向かうことになったのである。以下次号。