十年の読書。

ちょうど読書メモのページが埋まったので、過去十年間、今頃の季節に何を読んでいたのか調べてみた。
どうやら、同じテーマの周辺をぐるぐるしてるみたいだな。

2000年

日本社会の歴史〈中〉 (岩波新書)

日本社会の歴史〈中〉 (岩波新書)

この年はプーだったので、ものすごい勢いで本を読んだ。イスマイル・カダレやミロラド・パヴィチをはじめて読んだのもこの年。ちなみに「日本社会の歴史」の次にはブローデルの「地中海」に取りかかっている。

2001年

天界の城 (ハヤカワ文庫 JA (664))

天界の城 (ハヤカワ文庫 JA (664))

佐藤史生の何がすごいって、頽廃愛憎どろどろの表題作と、主義に従って人間でなくなる可能性を選択した集団を冷静かつ等身大に描く「やどり木」の両方を一冊におさめてしまえるレンジの広さである。悪のラスボスでも何でもない主人公の友人の少年が当然のように口にした「幸福というものはそんなものだ/もちろんいやなものじゃないけど/タカは知れている」というセリフは今でも大好きだ。大国のゴタゴタにつけこんだ小国がバイオテロを起こして要求貫徹するさまをこれまた淡々と描いた「羅陵王」という作品もあるので、9.11後にはあるいは企画がぽしゃったやもしれない。それにしても新作を拝むことはかなわないのだろうか。

2002年

多分、神保町の古本屋で全巻揃いであったのをゲットしたのだと思う。某スネイプ氏にはまって二次創作の底なし沼に溺れていた時期なので、前後にはバルカンの民族主義だとかプラハの何とかと言ったタイトルが並んでいる。ツェランとヴォルフとクリストフも集中して読んでいた。

2003年

G.K.チェスタトン著作集〈10〉新ナポレオン奇譚 (1984年)

ドキュメント 戦争広告代理店―情報操作とボスニア紛争

ドキュメント 戦争広告代理店―情報操作とボスニア紛争

少し前に「木曜の男」を読んでチェスタトンにはまっていたらしい。

2004年

エウリーピデース II  ギリシア悲劇全集(6)

エウリーピデース II ギリシア悲劇全集(6)

前後にはギリシア悲劇ウンベルト・エーコを読んでいる。ちなみにギリシア悲劇全集は今年の一月にようやっと第8巻まで到達した。

2005年

復讐者の悲劇・無神論者の悲劇 (エリザベス朝演劇集)

復讐者の悲劇・無神論者の悲劇 (エリザベス朝演劇集)

あ、これは面白いです。オススメです。「復讐者の悲劇」の方ですが。昔神童だったものの、二十歳すぎてただの人になってしまったが、一家の期待を一身に背負って抜き差しならなくなってしまった引きこもり系の青年(推定)が、恋人を殺された復讐をはじめ、どんどんいろんな意味で崩壊していくさまをひたすらドライにシニカルに追っていくお話。「ハムレット」と違ってあんまり多様な読みにひらかれていない分、ダメっぷりに容赦がなくて、他人事とは思えません。

2006年

ペガーナの神々 (ハヤカワ文庫FT)
その前にはランペドゥーサの「山猫」、さらにその前にはムヒカ=ライネスの「ボマルツォ公の回想」を読んでいる。

2007年

ミノタウロス

ミノタウロス

本屋を10軒くらいハシゴしたのに見つからなくて、ほとんど切れていた。当時必死こいて読んだ感想はここ

2008年

バーデンハイム1939

バーデンハイム1939

著者はチェルノヴィッツ出身のイスラエルの作家。当人よりもご先祖さまのことに詳しく、旅行の計画を立ててくれたりする当局が非常にこわい。前後にはナボコフとかパムクとか。そう、電車の中でパムクの「雪」を読んでいたら品のいいおじいさんにナンパされたのでした。

2009年

エンデ全集〈13〉自由の牢獄

エンデ全集〈13〉自由の牢獄

エンデは子供の頃、大嫌いな作家の一人だったのだが、ゆえあって全集を端から読んでいる。個別的には共感したり納得したりする部分もあるものの、個々のテーマをリンクする仕方は私的には相変わらず承服しがたい。この本なんか、Beam Us Home!と言っているようなものなのだが。