ヴェーセン、ヴェーセン!(川越編)

coalbiters2009-05-02

○4月26日、日曜日。本日のヴェーセンの公演は午後五時から。川越は前回の公演以来2回目なので、趣向を変えて新河岸川をさかのぼることに。一つ手前の東武東上線新河岸駅で下車。事前情報では駅からの道が川と交わるあたりに昔の河岸場跡があるということなので、駅前の売店で「川はどっちですか」と聞くと、「私は土地の人間でないので判りません」とつれない答え。店先に市内地図あるんですけど(ただし逆向き)。仕方がないので電車が通るのを待って行き先と地図の向きを突合させ、歩き始める。途中、コンビニや病院の駐車場がやたらにでかいのでびびる。この辺りだとすでに自動車が交通手段なのか。橋のたもとに河岸場跡の記念碑が建ち、船着き場が整備されて、川面に木造の小舟が2隻ゆらゆらしていたが、昔日の面影は全くない。ものすごい勢いで菜の花が繁茂しているのでいい匂いがする土手を上流へ向かってひたすらてくてく。埼玉県は山が近いなあ。
○しだいに住宅街のドブ川、ついでノスタルジー風味に整備された水路(桜並木つき)と化す流れを2時間ばかりさかのぼって小江戸の中心地へ。今日の会場茶陶苑は江戸時代につくられて茶の蔵として使われていたのを改装したところで、とにかく音が素晴らしい。古い木のにおいもすばらしい。高い天井と吹き抜けの広い空間もすばらしい。しかも最前列に陣取れば、同じ床の上2メートルも離れていないところでメンバーが演奏するという、もう美味しすぎる会場なのである。
○ということで、最前列(今回はギターのローゲル側)に陣取り、ひたすら音を味わう。セットリストはすみだ、鎌倉と重なっていたけれども、音の響きという点では今回がピカ一。厚みもキレも残響も――要するに全てが。エネルギッシュかつスピーディーに走りつつ(@すみだ仕様)、親密さ精緻さが消されることもなく(@建長寺仕様)、三人一体になった音を待ち構えて受け取りに行くのは、もうたとえようもない快楽だ。2曲目のHasse A'sあたりまでは結構いじっているとか考えていたが、考える部分のスペックが勿体なくなって、頭を振り、(消音仕様で)手を叩き、床を踏みならして堪能した。ヴェーセンの三人と、彼らを呼び続けてくれる野崎さんと、茶陶苑の山崎さんと、とにかく公演が成立するだけの人数集まってくれる他のお客さんみんなに感謝だ。ついでに、とりあえず手術で大事にならなかったツンデレの父にも感謝しておく。ということで、今日はとても幸せです。