箱根に萌える。

ええ。草木が萌えはじめていましたよ。
○箱根にはここ数年、毎年のように行っているのだが、何一つ観光らしいものはしないまま酒だけ飲んで新宿にとんぼ帰りしていたのである。隣のホームから出発していく箱根登山鉄道をいいなあと眺めながら。今年こそはまっとうな観光客になりたかったので、念願の箱根登山鉄道に乗ってみた。というか、鉄ちゃん臭ふんぷんたるこのページに萌え心を刺激されたのだ。スイッチバックとか急勾配で何たらとか、子供の頃にひたすら覚えこんでたなあ。先頭車両に陣取ってみたのだが、カメラかまえたおじさんお兄さんが入れかわり前方の写真を撮っていく。
○40分ばかりガタゴトと揺られて強羅駅に着き、ケーブルカーに乗り換えて早雲山まで行く。で、実はそこまでしか時刻表を調べていなかったのだった。他の乗客は当然のようにロープウェイ乗り場へ向かうのだが、ロープウェイの切符売り場には都心の地下鉄みたいな到着時間は記されておらず、帰りの電車が決まっている身としては安全牌を取ってあきらめる。山とつくからには展望台くらいあるだろうとたかをくくってもいたのだ。普通に山の中腹で、企業の保養所とホテルのほかには何もありゃしない。余った一時間をどう使おう。
○そういう時には歩くことにしている。方向音痴の身で地図も無いので一瞬ひるんだものの、下ればいずれはどこかの駅に着くと腹をくくってひたすらに坂を下る。これこそ、関東沖積層育ちのあさはかさと言うものであって、急な下りはなまじな登りよりよほど大変であることを認識しておくべきであった。強羅駅にたどり着く頃には、膝は踊る、尻は引きつるで息も絶え絶え。それでもウグイスはとおる声で鳴くし、せせらぎの響きも聞こえてくるし、野生の注意力を全開にする久しぶりの機会を満喫したかったので、さらに下って彫刻の森駅で電車に乗る。それにしても観光客は結構いるのに、駅とバス乗り場にたむろっているばかりで道すじでは一向に見かけず、ルートから一歩離れた道路の深閑っぷりはすがすがしいほどであった。
○そういや、強羅公園のあたりで何やらあやしげなアナウンスがあった。迷子のお呼出みたいな感じで始まったのだが、「年齢は70歳くらい」「服装はパジャマの上下」「はだし」って、一体何をしておるのか。伝統ある別荘地の公園は実は悪の秘密結社の実験施設で、観光客を誘いこんでは恐ろしい人体改造実験をやっているのだ――とか妄想をたくましくしてしまったぞ。こういうネタと組み合わせて、一つどうだろう。
【本日のメモ】
帰宅後に調べたら、早雲山駅から桃源台駅まで、ロープウェイで30分かからないではないか。